Adobe Flash Player終了に伴うVMware Horizonが受ける影響について

期間が大きく開いてしまいましたが、直近で確認した事をまとめておきます。

 

Adobe Flash Playerが12月末でサポート終了となります。
この"サポート終了"ですが、vmware製品のように
"自己責任で使用を継続できる"種のものではなく
"原則使用が強制シャットアウトされる" ため注意が必要です。

 

とは言っても、通常ブラウザを使用している場合であれば注意が表示されるので
"Flash Player自体が使えなくなる" という事自体は認知されている方が多いのではないかと思います。

 

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今回は"Adobe Flash Player"のサポート終了に関する話をしていきたいと思います。

 

 

Adobe Flash Player終了に関するvmware製品の受ける影響について

まず先にKBを出しておくと...以下ページが既に公開されています。

VMware Flash End of Life and Supportability (78589)
https://kb.vmware.com/s/article/78589

 

まず最初にこのページについて確認しておくのがいいです。

 

Adobe Flash Playerがサポート終了する事について一行でまとめると
"これからはFlashじゃなくてHTML使ってね!" という話です。

 

 既にご検証されているブログも多くありますが、Flash Playerの最終リミットは
"2021年1月11日 23時59分" のようです。

 

管理端末の時刻を進めていくと、1月12日になったタイミングで
強制シャットアウトされていることがわかります。

 

1月11日 23時56分ごろ

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1月12日 0時02分ごろ

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※ 余談ですがこの"Fi"マーク...ご丁寧にFlash Playerのサポート終了を示すページにリンクされており、
クリックするとAdobe社のホームページにつながります。

 

 

 

話をKB 78589へ戻します。

VMware Flash End of Life and Supportability (78589)
https://kb.vmware.com/s/article/78589

 

このページに書かれている各種製品のうち、使用ユーザが多い(と思う)ものを
先に羅列しておきたいと思います。

 

~ vCenterの場合 ~

 

vCenterについては、v6.5以降が記事作成時点でサポートがされています。
v6.5 GAの時点で、代替となるHTML5は使用が可能です。

 

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上記は6.5 GAのブラウザトップページになりますが
既に"HTML5"の選択肢を選ぶことが可能です。

既にご存じの方も多いと思いますが、HTML5を使用したGUIについては
当初からフル使用が可能なものではなく、バージョンを追うごとに
少しずつ機能が追加されていった歴史があります。

具体的には以下のページにまとめられておりますので確認しておくといいです。

 

vSphere Client の機能の更新
https://docs.vmware.com/jp/VMware-vSphere/6.5/rn/vsphere-client-65-html5-functionality-support.html

 

Flash Playerを使用した管理と同等の使用をしたい場合は
v6.5 U2d / v6.7 U2 への更新をすればいいことがわかります。
ただしこの機能更新はBugFixを加味していないものになるので
基本的にはできる限り最新のバージョンが推奨されます。

 

 

NSX-Vの場合 ~

 

既にNSX-Tへの移行がどんどん進んでいる製品になりますが
NSX-Vも勿論まだ健在です。

 

NSX-Vの NSX Managerについては、Flash Playerは使用していません。

 

NSX-Vですが、投稿時点ではv6.4.0以降がサポート対象バージョンとなり
このv6.4.0以降はHTML5 vCenterでの管理がサポートされています。

 

vCenter 6.5 GA + NSX-V 6.4.0 の組み合わせを使用して
vSphere Client上で管理項目が出ることを検証環境で確認しています。

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ただしvCenterのHTML管理画面同様に バージョンが上がることで少しずつ
機能が追加されていってますので、出来る限り新しいバージョンへの更新が
推奨されています。

 

詳細は以下のKBページから追いかけるといいかと思います。

 

VMware NSX for vSphere の機能の更新-vSphere Client の
ユーザー インターフェイス プラグイン
https://docs.vmware.com/jp/VMware-NSX-Data-Center-for-vSphere/6.4/rn/nsx-vsphere-client-65-functionality-support.html

 

 

 

~ vRealize Operations Managerの場合 ~

 

vR Opsはv6.6.1からHTML5での使用に切り替わっています。

記事投稿時点ではv7.0以降がサポート対象バージョンになっていますので
サポート範囲内のバージョンを使用している場合は影響は発生しません。

 

 

Flash Playerがサポート終了してしまった時に、考えられる最悪のパターンは
"Flash Playerが終了する事またはFlash Player終了によって管理画面に影響が出ることを知らず、かつGUIベースでの管理が全く出来なくなってしまった"
状態となりますが、上述の3種類について、現在サポートされているバージョンは最低限HTML5GUI実装済のため基本的には最悪のパターンは回避できます。

 

 

では、今回のメインであるHorizonについて確認していきます。

 

 

~ Horizon の場合 ~

 

Horizon AdministratorのGUI画面は"Horizon Console" と名前を変えて
HTML5に対応した管理画面がローンチされています。

 

なおHorizonの場合、現在サポートされているバージョンでも上述した
"最悪のケース"に該当する可能性があります。

それは"Horizon 7.0 - 7.4 を使用の環境" です。

 

Flash Playerの代替は"HTMLを使用する事" と記載しましたが、
Horizon AdministratorでHTML5を使用する事ができるのは "7.5 以降" になります。

 

v7.0 - v7.4 の既存環境ではFlash Playerが終了した瞬間に
正規の手順では代替案が無くなる為、特に注意が必要です。

 

簡単にまとめてみます。

 

1. Horizon 7.0~7.4 :  HTML5 GUI未実装。
 → Adobe Flash Playerによる影響が即座に出る。

2. Horizon 7.5~7.13 : HTML5 GUI (Horizon Console)実装。
 → 従来のAdobeを使用したGUIHTML5 GUIが併用可能

3. Horizon 8 (2006) : HTML5 GUIのみ対応、Flash Player GUIはリタイア。

 

 

本記事の最初に取り上げたKB 78589 では Horizonの最小推奨更新先は
Horizon 7.10 と記載されていますが、
個人的には 7.13がいいのでは、と考えています。

 

理由1:Horizon Consoleが標準推奨とされたバージョンはv7.11である

 

これはリリースノートに明記されています。

VMware Horizon 7 バージョン 7.11 リリース ノート
https://docs.vmware.com/jp/VMware-Horizon-7/7.11/rn/horizon-711-view-release-notes.html

===========
Horizon Console が、Horizon 7 で推奨の基本 Web インターフェイスになりました。既存の Flash ベースの Horizon Administrator Web インターフェイスはサポートを継続しますが、2020 年初めには廃止される予定です。
===========

 

理由2:Horizon 7.11 / 7.12はサポート終了間近である

 

こちらも投稿時点のマトリクスになりますが、実はHorizon7については
大部分がサポート終了間近です。

Horizon7.12までのバージョンについては、あと3-4か月程度で
正式にサポートが終了します。

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"Flash Playerへの対処を行うためにHorizon 7.11に更新したのはいいが、
結局数か月後にまた更新をしなければいけない" という事態になりかねないので
特段の事情が無い限りHorizon 7.13 (またはHorizon 8)への更新がいいと思います。

 

 

Horizon 7.13とHorizon 8 どちらを選択するか、についてですが
こちらはSQLの整合性なども鑑みると考慮事項が多いので
簡単にHorizon 8で"使えなくなった機能" を記載しておきます。

 

・ Linked Clone

vR Ops for Horizon

・Security Server

 

上記の3つが使用できない状態となります。
個人的には、かなり攻めた機能削減だなという印象です。
詳しくは以下を見てみるといいかと思います。

 

VMware Horizon バージョン 2006 リリース ノート
https://docs.vmware.com/jp/VMware-Horizon/2006/rn/horizon-2006-release-notes.html#deprecatedfeatures
・このリリースで廃止された機能
・今回のリリースでサポート対象外になった機能

 

 

なおLinked Cloneのサポート終了ですが、厳密には
Horizon 8 GA(2006)ではView Composerが準備されています。

ただしこのバージョンが最終リリースである事がほのめかされており
Composerに関するBugFixは絶望的です。

これは"使用を促す"リリースではなく、"Horizon 8を使用したいけど、どうしても
今だけはLinked Cloneを使わなきゃいけない!" という方向けの
かなり後ろ向きなリリースであると覚悟しておくべきかなと思います。

 

 

Flash Player リタイア後にどうしてもFlash Playerを使用したい場合...

 

実際問題、環境によってはどうしても一時的に使いたい瞬間が出てくる事も多いと思います。

KB78589を閲覧すると、下部に代替案が記載されています。
こちらは推奨しないと記載がありますが、一応手順について確認してみます。

 

検証環境: Google Chrome 87.0.4280.66 (in Windows 10 1809)
                    Horizon Administrator 7.4

 

作業は全てブラウザが導入されている管理端末上で行います。

 

早速、 user\AppData\Local\Google\Chrome\User Data\Default\Pepper Data\Shockwave Flash へ移動します。

この配下に"System"フォルダがあるかどうかを確認します。

 

と、私の環境はありませんでした。以下2つのフォルダがあるのみ...。
無い場合は作ってしまえばOKです。

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さて、作ったら次にmms.cfgファイルを作成します。
AllowListUrlPattern にHorizon AdministratorのURLを入れていけばOKですが
Horizon Administratorの場合、Adobeを使用するのは<FQDN>/admin 以下なので
このcfgファイルにも" /admin/ "を忘れずに入れておきましょう。

 

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cfgファイルを作成後、ブラウザを再起動して開いてみると...
無事、1月12日以降の環境でFlash Playerを使用する事が出来ました。

作業にすると2-3分で終わりますね。

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注意点としてはvmware社が推奨していない事と、管理端末が複数ある場合は
その端末全てで実施をしなければいけないという事ですね。
(あくまで接続しに行くClient側からのアプローチなので)

 

またこの作業、画像を見てもわかりますが、単に"ブラウザの設定"を変更するものであって"vmwareの製品に即した手順" という訳ではありません。

その為今後の各ブラウザのアップデートによって作業内容が変わったり
作業の実施自体ができなくなる可能性もありますが
その場合は各ブラウザをリリースしているベンダーへの確認が必要になるので
自己責任として緊急時の一時的なソリューションとして使用いただくことを
個人的にも推奨します。